amareloのブログ(仮)

IT系勉強会で感じた想いや知見をメインに書いていきます。

「政治学者、PTA会長になる」を読んで

目次

はじめに

図書館で「政治学者、PTA会長になる」という本を借りて読みました。 本書籍は、著者で政治学者の岡田憲治さんがPTA会長を務めたその経験談として書かれていましたが、 個人的には、リーダーシップ、組織運営、チームビルディングの観点で気づきがあって興味深く読むことができました。

今日はその観点で読んだ感想を書いていこうと思います。

※お断り

これから「組織」という単語を多用します。PTAのみならず、会社、チーム、団体などを指す言葉ではありますが、 特定の組織について述べるものではありません。

書籍について

Amazon.co.jp: 政治学者、PTA会長になる : 岡田 憲治: 本

気づきと感想

リーダーとオペレーター

  • 日本人は「オペレーター」気質の人が多い。

    • 先達からの手順を継承して厳密に対応することで失敗なく物事を進めることの方が得意な人が多い。
    • オペレーター気質の人が、PTA会長に押し上げられ真面目にこなそうとしすぎて心身的に負担を抱える。
    • オペレーターを生み出す教育が強く、リーダーを育てる教育が手薄。
  • リーダーとは

    • 不完全な情報や事態をメンバに説明し意見を引き出す人。
    • 意見を取捨選択して決断を下し、次に向かう先を言葉で指し示す人。

前半、著者のリーダーシップに関する記述があり、上記のような内容が書かれていましたが、同感でした。 これまで受けてきた学校教育、就職してからの社員教育など、どれをとっても「リーダーシップ」とは?にフォーカスした教育は少ない。 自分も社会に出ていい年になりましたが、このようなリーダーかと問われるとそんなレベルでは到底ありません。 また、このようなリーダーって日本にどのくらいいるんだろう?って思いました。

だから組織はなかなか変わらない。しかし、リーダー気質な人が必ずしも組織の長にならない。

ではどうするのが良いか?完璧な答えはないと思うけど、

  • 変えること、前例踏襲でないことは、良いこと。
  • 日頃から行動しやすい雰囲気、意見しやすい雰囲気を作ること(心理的安全性の確保)。
  • 各自の得意なことを共有して、得意分野で補い合うこと。

リーダー一人が背負うだけではなく、所属組織メンバが共通認識とすることが大事なのかなぁと思いました。

PTAは生活の延長

「PTA」というより、日々の活動すべてに当てはまると思います。

仕事にせよ、ボランティアにせよ、やはり日々の生活の延長線にあるのが望ましい、 自身に支障をきたしてまでやるものではない。本当に同感です。 結果的に嫌な思いになりますし、残るものはあまりありません。 まぁ、仕事となると成果や結果を出す責任があり多少の苦労はつきものですが、 それでも自らの生活を切り詰めすぎたり、心身の健康を害してまで出す成果や結果はないと思います。

現状(人員不足や世の中の流れ)に向き合わず無理しすぎたり、組織の存続が目的となっていると 逆にそれがアンチを作る原因の一つになりかねません。 そうなったら、組織を閉じたり、外部から強制的に改善することの検討も必要なのかなぁと思いました。

変えることの難しさ

リーダーが不要と思っていても、続いてきたことにはその背景や理由がある。 それを理解せずに一方的に無くしたり強制的に変えたりすると、ハレーションが起こるし心を閉ざす人もいる。 時間をかけてお互いが歩み寄って理解する時間も必要で、継続してきたことを変えることは難しいと改めて思いました。

その一方で、本当に無駄なこと不要なことを削ぎ落すと時間的余裕ができる。視野が広くなりやるべきことが増える。 筋肉質な組織になって、組織へのかかわり方も外部からの見え方もポジティブになる。 ただそこにたどり着くには、この変えることの難しさと直面して、日々コツコツ取り組んでいくしかない。改善は一日にしてならずですね。

誰でも運営できる組織にすること

PTAのように任期が長くない場合、改革しようと思っても、できる誰かがやるには時間がかかりすぎる。 誰かできる人がやり続けて属人化させるのもそれも違う。その人がいなくなったら、うまく回っていたものが元に戻ってしまう。 誰でもできる組織にする、誰でもできる仕組みを作り、他の誰かに継承していく。 良い形で持続可能な組織運営をすることの難しさを感じました。

仕事もそうで、自分が担当している仕事を別の人がやってもほぼ同じように回していくことができるのが理想的。 だけど、突発的に誰かに引き継いでもすぐに上手くいかない。手順をビッシリ整備するだけでなく、 日頃から自身の仕事の仕組みや思想を、メンバにも共有したり分かってもらえるよう努めたいと思いました。

ビジョンや目的の共有

ここまで書いてきたことは、日頃から組織のビジョンや目的、行動指針を組織メンバに共有し、 組織外の人たちにも情報発信してこそ成り立つものだなと思っています。

岡田さんが話の中で、PTA活動の行動指針・ビジョンを何度もメンバに呼び掛けていたり、 保護者や学校にもそれを情報発信しているシーンがありました。 メンバが行動指針を理解していれば、何を判断基準として行動すればよいかわかる。 リーダーでなくてもメンバが考えて動くことができる。行き過ぎたときは誰かが諫めることができる。 外部の人たちは協力したいと思ってくれる。 普段から、組織内外ともに自分たちが何を大切にしているかを発信することが重要で、 本当に改善は一日にしてならず、一人では戦い続けるのは並大抵ではないと確信しました。

最後に

PTAを題材にした書籍なので、最後に自分のPTAに対する拙い考えを書こうと思います。

「PTAは子供のため」

ふんわりした言葉だし、岡田さんも疑問を呈していましたので深掘りが必要な言葉ですが、PTAの目的を一言で言うとこれだと自分は思っています。 学校も家庭も健全に生活でき、すべての子供が安全な学校生活を通じて育つためにも、PTAは存在するのが望ましいと思います。 ただし、「PTA」という名称や体制にこだわらなくても、学校と家庭が良い関係性を築き続けるために少しでも多くの人が関心を持てて、 より良いものにしていくための力や知見が少しでも多く集まるよう、門戸が開けていれば良いのかなぁとぼんやり考えています。

色々と気づきや考えさせられることが多く勉強になりました。読んで良かったです。 全国のPTAや小中学校に関係する組織が、少しでも健全で前向きな活動をできることを願っています。